川井: |
最初はどんな会社に行かれたんですか?
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永原: |
最初はシステムを作っている会社です。業種は一貫していて、何人かずつのチームを派遣して・・・汎用コンピュータなどですね。COBOLの世界でした。
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川井: |
COBOLですか。
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永原: |
まあ、当時から上司に食ってかかるような感じでしたよ。「仕様書のおまじない」とか出てくるんですけど、「おまじないってなんや、ちゃんと教えろ」みたいな(笑)
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川井: |
(笑)
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永原: |
とことんまで突きつめないと気がすまないタチなんですよね(笑)
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川井: |
なるほど。
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永原: |
そんな事をしながらコンピュータを学んで、まあやっぱりうまくいかなくてですね。当時若かったので、とんがってたんでしょうね。喧嘩して辞めちゃいました。
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川井: |
チームで現場に常駐するわけですよね。
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永原: |
そうです。
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川井: |
何次請けくらいでやられてたんですか?
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永原: |
その時は、上がユーザのシステム部門だったのでいい位置にいたとは思います。実質的には一次請けですね。
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川井: |
そうなんですね。
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永原: |
場所が工場の中なのでプレハブで、現場のおっちゃんと一緒に作業服を着てました。ラインが止まったらおっちゃんが殴りこんでくるような、それはそれで楽しい世界だったんですよ。仕事は楽しかったです。
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川井: |
製造業系のシステムだったんですね。
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永原: |
そうですね。製造業ですね。もうだいぶ前ですよ。今僕が40歳なので、20年近く前ですね。
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川井: |
もうCOBOL一辺倒ですか。
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永原: |
そうですね。その当時は、COBOLで一生飯食えるもんだと思ってました(笑)
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川井: |
なるほど。
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永原: |
で、最初の会社は結局2年くらいで辞めたんですよ。それで次に、知り合いと一緒に会社を始めました。
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川井: |
はい。
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永原: |
それも、1年ちょっとしかもたなかったですね。飽きっぽいんでしょうね。
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川井: |
それはどういった会社だったんですか?
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永原: |
一緒ですよ。たまたま会社が変わっただけで、同じ仕事をやっていました。
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川井: |
製造業のシステムですか?
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永原: |
ええ、COBOLでシステムを作る仕事です。当時、保険会社のシステムなんかもやってました。若い頃なので業種なんて選べるわけでもなく、「あっち行け」と言われたら「ハイ」って行くだけでしたね。まあそんな中でもプログラムつくるのが楽しくてやってました。
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川井: |
勉強はどうされてたんですか?仕事の中でですか?
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永原: |
そうですね。汎用のCOBOLをやってるころは書籍がなくて、すべて仕事の中で勉強しました。やっぱり、もとが飲み屋の息子ですので、仕事は飲みからだと(笑)
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川井: |
(笑)
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永原: |
とにかく、「色んなことを教えろ」とうっとうしがられるくらい上司にくっついていきました。「プログラムなんて勝手に覚えるからそんなのはいらない、世の中の仕組みを教えろ」とか、そんなことばっかり言っていましたね。
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川井: |
なるほど。かなりやんちゃだったんですか?
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永原: |
そうですね。
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川井: |
見えないですねぇ。
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永原: |
そうでしょ?(笑)丸いでしょ?だいぶ太ってきたんで・・・
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川井: |
(笑)
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永原: |
とにかく仕組みがどうなってるのかなっていうことが知りたかったんです。ほんの少しだけど、答えが見え始めたのなんて最近ですよ。世の中に勝ち組はひとりしかいないんじゃないかと思っていて、「そこに行くにはどうするんやろ。全員と競争しなきゃいかんのか」みたいな考え方を20代の頃はしてましたね。
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川井: |
なるほど。じゃあ目的としては、勝つためにみたいな感じですか。
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永原: |
そうですね。何も分からなかったので、とにかく自分が生き残るためにはどうしたらいいんだろう、って。
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川井: |
生き残るためにですね。
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永原: |
はい。生き残りっていう言葉もわかりませんでした。早くに母親が亡くなってるし、「死ぬってこういうことなんやろうな」とか「何かせないかんのや、俺って一人で食って行けるんだろうか」とか焦りが募りましたよ。
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川井: |
なるほど・・・。
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永原: |
24〜25歳の頃はそんな感じで一人暮らししていました。本当にお金がないし、またそのぐらいの年の頃って、お金のセーブの仕方がわからないじゃないですか。
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川井: |
そうですね。
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永原: |
本当に貧乏で、平日は仕事して土日は自動販売機の下の100円玉取って。お米食いたいって思ったら近くの田んぼに行ってちょっと稲もらってきて脱穀してみたりして、「ああこんなん無理!」とか、そんなことばっかりして遊んでました(笑)
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川井: |
給与はかなり低かったんですか?
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永原: |
当時の24〜25歳の給料なんで、大した給料じゃなかったですね。でも、細々とやっていけば食って行けたはずなんですよ。
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川井: |
なるほど。
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永原: |
けども、まずは飲みやろっていうところがあるので、何か匂いがしたら飲みにいきました(笑)
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川井: |
飲み代なんですね(笑)エンゲル計数ではなくて。
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永原: |
はい。昔はヘビースモーカーでしかも飲んでばかりいましたけど、とにかくそこは大事や、減らされへんと思ってました(笑)そこを減らすくらいなら飯は食わないくらいの勢いですね。
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川井: |
(笑)
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永原: |
昔の上司は・・・僕がおにぎりだけ作っていって米食ってるのが3日間ぐらい続くと、4日目くらいからその上司の奥さんが僕の分もお弁当作ってくれるわけですよ。ごちそうさまです!とか言って(笑)
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川井: |
そういうのなんかあったかいですよね(笑)
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永原: |
はい。そんな世界でやってましたね。今も本当に感謝しています。
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川井: |
残業代とか当時はなかったんですか?
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永原: |
ありましたけど、残業のある仕事とない仕事がありましたし。
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川井: |
そうですね。
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永原: |
しかも当時から残業嫌いでですね、だらだら時間を過ごすのが大っ嫌いなんです。残業してるくらいなら・・・
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川井: |
飲みに行く(笑)
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永原: |
はい(笑)そんなことばっかりしてました。
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川井: |
お酒はお強いんですか?
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永原: |
好きですけど、全然だめですよ。今も昔も無茶ばっかして飲んでただけです。基本的には弱いです。
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川井: |
(笑)そうなんですか。2社目もそんなに肌に合わずに・・・ということですか?
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永原: |
会社の中のメンバーとは仲良くなるんですけど、上司にたてつく癖があってですね。よくないですよね(笑)
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川井: |
なるほど。私と似ていますね(笑)
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永原: |
下はかわいいし、仲間とは一緒にやろうって思うんですけど、上がわからんこと言ってきたら「なんでそうやねん」と突き詰めてしまう。大人の事情を理解しないんですよね(笑)お前の引き出し全部開いてやる!っていう感じでした。
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川井: |
同じことやってました(笑)
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永原: |
ひどい話ですよ。おじさんになってきて部下に同じことされて、ああ、痛い痛いとか思いながら仕事してますよ(笑)
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川井: |
そうなんですよねぇ。僕ね、昔の上司に謝ったことあります。「すいませんでした、気持ちがよくわかりました」って(笑)
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永原: |
あ、わかります。僕も何回か謝ってます(笑)
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