祥伝社新書刊の手塚治虫傑作選「家族」を買いました。帯にもあるとおり、幻の名作であるブッダ外伝「ルンチャイと野ブタの物語」が納められています。こういうのに弱いですね。手塚治虫の本はほとんど所有しているのですが、まだ読んだことのないものが入っているといわれると、ついつい買ってしまいます。あらすじはこんな感じです。
ぐうたらで嘘つきなルンチャイという男の子がいました。ある日、学校を遅刻したルンチャイは、言い訳に母が死んでしまったとい嘘をついてしまいます。すると黒い服を着た大きな男が「息子がいうには母は死んだということでもう母はいらないそうだ」といってルンチャイの母を連れ去り、ブタに変えてしまします。
ルンチャイは、母を追って、険しい山や川を必死の思いで越え、ついにブタに成り果てた母のいる死の世界であるマーラの城に辿り着きます。そこでルンチャイは、「母を生き返らせたいならお前がブタになれ」といわれ、母のためにブタになってしましまいます。
そして・・・、野ブタになったルンチャイは、生き返った母のもとに帰り着き、母はルンチャイと知らずにこの野ブタを飼うことにします。もうすぐ野ブタとして立派に成長したルンチャイを食肉業者に売ろうとていた時にブッダが現れます。
ブッダは、この野ブタが息子の成れの果てであると気がつき、母に「このブタを売っても殺してもいけない。それに今後、一切の殺生をしてはいけないし、肉を食べてもいけない。それを守れば、やがて身ごもり、子供が生まれる。その子供に死んだ息子と同じ名前をつけなさい」と言って、立ち去っていきます。
やがて、野ブタは長生きしたのち死んでいきました。その同じ日、ブッダの教えを守った母は、男の子を出産し、ブッダの言いつけ通り、「ルンチャイ」と名づけたそうです。
なんというか考えさせられる話ですね。嘘をつくという罪、でも罪は償うこともできる、輪廻、殺生しない。。。いろいろなテーマが語られている話だと思います。こういうものを読めた子供は幸せですね。最近のドロドロとした恋愛もどきばかりの話やアクションだけの中身の薄い話だけでは深く考えるというシーンがなくなっていくのではないでしょうか。
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