渾身の書き下ろし、「鹿男あをによし」を買って読んでみました。
2冊読んでみた感想ですが、この万城目学という人はすごい才能の持ち主だと思います。
とにかく伏線の張り方はオーソドックスなのですが緻密で、それでいて飽きさせない。神話や伝説などの歴史をモチーフにしたフィクション構成なのに、痛快感と爽快感もある。それでいて現代のエキスも盛り込んでいるというミキサーのような作家です。
前作の「鴨川ホルモー」でもレナウン娘の唄が出てびっくりしましたが、今回もポッキーが面白いところで登場します。これは天才というほかないですね。
その中に、きらりとひかる訓示のようなものを見つけたのでご紹介します。思わず、サンテグジュペリの星の王子様に出てくる「大切なものは目には見えないんだ、心でしか見えない」というくだりが浮かんできました。意外なところで感動できるのもいいものです。
「人間という生き物は文字にして残さないと、何もかも忘れてしまう。本当に大事なことは、文字にしてはいけない。言葉とは魂だからだ。だが、そのことを人間はすっかり忘れてしまったらしい」
1800年の間、卑弥呼から依頼されたナマズ封じをしっかり伝承してきた鹿が発した台詞です。
ほーら、皆さんも読んでみたくなったでしょう。 |